|オステオパシー 実例|オステオパシー|オステオパシーでできる事の詳細|
オステオパシー 実例
寝違え
- 寝違えは、寝ている間に首の筋肉が固まってしまって、首を動かせなくなってしまう状態です。
- 痛みを取る為には、頸椎と首に関わる筋肉の調整が必要です。殆どの場合痛みを出しているのは筋肉なので、比較的容易に解消出来ます。
- 睡眠中は体が勝手に動いて、寝返りを打ったり体制を変えたりします。自律神経が上手く働いてくれないと、寝返りを打つ時に体の一部が動けずに固まってしまいます。
- オステオパシーで考える原因としては、疲れからくる自律神経の働きの悪さの他にも、首の骨のズレ・骨盤の歪みやズレ・CSF(脳脊髄液)循環不良等いくつか有ります。頻繁に繰り返す人はそれらの調整も必要です。
ギックリ腰
- 骨のズレの代表が重いものを持った時のギックリ腰です。骨盤が支えきれずに体の支えが無くなって上手く立てない状態です
- 急性の場合、そのズレを戻す事で、殆どのケースで歩けるようになります。
- 腰椎との併発や、骨盤内の内臓の間膜が固くなっている場合にはスムーズに歩けるようになるまで何日か係る場合も有ります。
足を捻った場合
- 骨のズレで2番目に多いのが足首の捻れです。
- ずれた骨を元に戻す事で、構造的に支えられるようになります。
- 伸びてしまった靭帯の状態がひどい時には、テーピングで補佐します。
- 足首は7つの骨で支え、同時に複雑な動きができるようになっています。痛みが無くなっても違和感が残る場合には、それぞれの骨の軸や、足首の機能の軸の調整も必要です。
肉ばなれ
- 肉ばなれは筋膜か筋繊維、筋膜と筋繊維の両方の損傷です。
- 多くはふくらはぎに起ります。動かして痛い時より、動かさなくても痛い時の方が重傷です。
- 筋膜の緊張や固着・捻れを取り除く事で回りに派生した痛みを取る事ができます。
- その後で筋繊維の回りに有る、もう一つの筋膜を調整して、痛みのもともとの場所を探ります。原因となる筋繊維の回りの組織を正常に働かせる事で動く事ができるようになります。
- 必要に応じて、動きを制限する為のテーピングをする事で、走ったりジャンプも可能になるケースもあります。
朝起きれない症候群
- この症状は、単に疲れだけでは有りません。どんなに疲れていても緊張していると何とかなるものですが、体を支えるシステムが働かなくなると、本当に起きれなくなってしまします。
- 体を支える上で一番重要なのは、やはり骨盤です。骨盤のズレや機能不全を調整する事で大きく改善します。
- 2番目に大事なのが、呼吸です。1分間に20回程度、1日では2万5千回以上になる呼吸が、少し浅くなるだけで体に取り込まれる酸素の量はかなり減ってしまします。
- 固くなった背中と肋骨を緩める事で深い呼吸ができるようにします。
頭の痛み
- 頭の痛みは、筋肉の緊張が原因のものと循環が原因のものが主です。
- 筋肉の緊張が原因の場合は筋肉の中心の骨盤の調整から始めます。骨盤が後に倒れてしますと、頭は前に出て顎が上がります。重い頭を支える為に首から肩・背中にかけての筋肉が常に緊張してしまします。骨盤の状態を戻す事で、首も支え易い位置に戻ります。
- その後に頸椎の骨の状態と、筋肉の調整をします。
- 循環が問題で起きている時には、最初に構造的な問題を解決して、その後におこないます。血液の循環は首の骨のズレや筋肉の緊張を取る事でかなり改善されますが、脳脊髄液の循環は更に、仙骨と後頭骨の動きのリズムを同期する調整が必要です。
- 更に血液中の酸素の量を増やす為に、背中や肋骨を緩めて呼吸し易くする必要が有ります。酸素の量が増えると目の細い血管に行く量も増えて、見え易くなります。
傷の修復
- 一般に傷は時間をかけて癒えるのを待つものと考えますが、もともと組織が持っているくっ付こうとする力の助けを借りる事で、とても早くしかも綺麗につきます。
- 皮膚の組織の支えとなる軸を整える事で、皮膚組織が本来の状態に戻ろうとするのです。
- 傷になった時の受けた力の方向を探り出して、乱れた軸を整えます。
便秘
- 便秘は腸の機能不全と骨盤の構造的な圧迫によって起ります。
- 骨盤は筋肉の中心として、身体全体を支えながら、大腸や膀胱・婦人科系の臓器も支えます。ずれたり捻れたりする事で、内容物が動きにくくなってしまうのです。
- 次に、大腸と場合に依っては小腸の調整が必要です。
- 支えている間膜の固着や緊張を緩めます。
- 内臓そのものの動きを整える事で、便の動きも良くなります。
オステオパシー
応用範囲の広いオステオパシーについての説明です。
オステオパシーが対象とする事
- ずれた骨・骨盤の矯正
- 筋膜・靭帯・間膜等の膜の調整
- 筋肉の調整
- 血流の改善
- 内臓を支える間膜と内臓そのものの動きの調整
- 脳脊髄液の循環の増進
- リンパの調整
- 免疫力の向上
- 各部位を支える為のクロスバンドの調整
- 支持組織の軸の調整
- 機能を支える軸の調整
- 脳と各組織の知覚、認識の調整
- 脳の記憶と組織の記憶の統合
- トラウマのリリース
- 身体全体の統合
オステオパシーでできる事の詳細
この項では実際の例を参考にして説明を進めます。想定する例は、ダンサーが踊っている時に、足を滑らせて転倒、膝の靭帯の断裂と足首の捻挫です。
1. ずれた骨を戻す。
- 骨のズレの代表は重いものを持った時のギックリ腰です。骨盤が支えきれずに体の支えが無くなって上手く立てない状態です。
- 重い負荷に絶えられずに起る急性の場合、そのズレを戻す事で、殆どのケースで歩けるようになります。
- 膝や足首の損傷の場合のほぼ例外無く、骨盤がズレます。
- 筋肉の動きの中心の骨盤を直す事で、身体の支持機能と筋肉の関係性を正常にします。
- その他によくズレる箇所は、足首・首・手首・背中等です。
- 例のケースでは、骨盤のズレの調整と足首の骨のズレの調整が必要です。
2. 筋膜・靭帯・間膜等の膜の調整
- 膜の調整で一番効果があるのは、打ち身(打撲)です。普通打撲は、時間が係ると思われますが、筋膜の捻れや緊張を取る事で飛躍的に治癒を早めます。
- もう一つ筋膜で大事なのが、隣の筋肉の筋膜との癒合です。隣りあった筋肉が上手く動けなくなって、関節にも制限を作ります。筋膜を緩める事でそれぞれが動けるようにします。
- 靭帯は骨と骨をつなげます。関節内の靭帯の様に関節そのものの機能を支えるための靭帯の断裂の場合には手術が必要ですが、普通の足首の捻挫程度の損傷であれば、ズレた骨を戻して、固定する事で治癒を早め、歩行も可能です。
- 内臓は、間膜と言う靭帯とほぼ同じ組織で支えられています。腹膜や胸膜も間膜の薄くなった膜です。固くなったり、緊張したこれらの膜を緩める事で内臓機能の低下を戻します。
- 例のケースでは、膝の靭帯が断裂する時にかかった力で、萎縮した筋膜を緩めて、膝の動きを戻します。
3. 筋肉の調整
- 筋肉は、長い時間同じ体勢を維持しようとしたり、うたた寝などで手が変な場所に行ったままになると、戻らなくなります。一つの方向にずっと使い続けると、そのまま固まってしまうのです。普段はあまり有りませんが、同じ姿勢で30分以上包丁を握って切り続けると、指は確実に伸びなくなります。
- 長い時間同じ負荷をかけ続けたり、一瞬でも大きな負荷が掛かると、脳がその負荷の掛かった状態を普通と認識して、その状態を記憶してしまうためです。筋肉と脳の認識を筋肉の活動電位を正常に戻す事で、リセットします。
- 例のケースでは、膝に関連する筋肉の調整をする事で、手術の前に膝の位置を本来の場所に戻します。
4. 血流の改善
- 血流は心臓と太い血管には筋肉が有りますが、それだけでは全身にくまなく送る事はできません。細い血管は走行している回りの筋肉が助けます。従って筋肉と血液の流れの障害を作り易い関節の正常化が重要です。
- 関節の機能を正常化する事が第一ですが、特に下肢への血流の改善は大事で、コアマッスルの大腰筋と、殿筋を調整することで行います
- 例のケースでも大変大事な調整です。
5. 内臓を支える間膜と内臓そのものの動きの調整
- 内臓は間膜と呼ばれる膜で、背骨や横隔膜や別の臓器につながっています。内臓を守り支える膜とも言えます。その間膜が突っ張ったり・固くなると内臓の動きも小さくなります。
- 内臓は6〜12回のリズムで動きます。またそれぞれ固有の動きの方向とパターンを持っています。
- 内臓が動けるように間膜を緩めて、本来持っている動きに戻す事で、機能も正常にまります。
6. 脳脊髄液の循環の増進
- 脳脊髄液は1分間に12〜18回のリズムで循環を支えます。神経や各組織の機能の大きな支えになっています。
- 4つの脳室の調整から始めて、脊髄・四肢の先端での循環を確認、調整します。
7. リンパの調整
- リンパは静脈と連通して、主に表皮に近い所の組織液を循環させます。途中に節があって、外部からの細菌などの感染も監視します。
- 例のケースでは、外傷で起る必要以上の鬱帯に対して、循環を促進します。皮膚表面を極軽くさする事と自律神経の働きを正常にする事で調整します。
8. 免疫力の向上
- 免疫に関わるのは、リンパと胸腺・内分泌系の肝臓・脾臓・副腎・甲状腺等です。全ての組織に脳脊髄液の循環も関わってきます。
- 個々の組織や器官の調整とそれを統合する事で、免疫力を高めます。
9. 各部位を支える為のクロスバンドの調整
- 体には、体幹の胸郭と骨盤に2本と四肢にそれぞれ6本ずつクロスバンドが有ります。このバンドは筋肉全体を支えて束ねる役割をしますが、外傷等を受けるとその部位を守るために、固くなる事が有ります。固くなる事で、その場所はしっかり支えられますが、それぞれの筋肉は動けなくなります。
- 例のケースでは、固くなった膝周辺のクロスバンドを解放して、それぞれの筋肉が正常に動けるようにします。
10. 支持組織の軸の調整
- 支持組織の中心の骨盤だけでなく、各骨にはそれぞれに架かる力を支える為の軸が有ります。骨稜もその一つです。大きなものとしては、形状に依る軸が有ります。
- 膝の関節に関わる骨は、大腿骨と下腿の骨2本です。間接的には、骨盤が関与し、下肢全体のバランスと左右の下肢のバランスを支えます。
- 軸は図のとおりです。これらの軸がきちんと真っすぐに繋がっているかを診て、調整します。
- 例のケースでは膝の靭帯を損傷する時に掛かった力が及ぼした大腿骨と腓骨・脛骨の軸歪みを調整をして、それぞれに掛かる力が骨の中心にくるようにします。
11. 機能を支える軸の調整
- 機能の軸は筋膜や関節に有ります。
- 筋膜の軸は動く為の、機能の軸です。平坦な筋膜の上にできた皺(しわ)のイメージです。皺を取る事で制限なく本来の方向に機能出来ます。
- 関節の軸は、身体全体や一部を動かすためのものです。この軸の存在が、身体全体のスムーズな動きの基本です。
- 膝の機能軸は、股関節と膝・膝と足首に有ります。内外にあるこの軸を調整する事で動かす時の膝の違和感が無くなります。
12. 脳と各組織の知覚、認識の調整
- 脳の知覚機能は、各組織にある固有受容器から送られて来る電気信号を、独自のネットワークで認識・統合する事で行っています。
- 例えば空間の認識を例に取ると、普通に歩いているのに、何故か足の先や手の先・肘の先を、何かにぶつけてしまうことがあります。これは頭が認識している先端と実際の先端がずれていたり、障害物がおかれている場所までの距離が認識とずれている時に起ります。
- 通常は、その対象物に対して特別に注意を払っての学習や反復で調整しますが、施術では脳と左右の足や手の振幅を調整する事で統合します。
- 例のケースでは、左右の足や手の動きで差がないように出来ます。
13. 脳の記憶と組織の記憶の統合
- 大きな力や、繰り返しの刺激を受け続けると、組織の細胞そのものが記憶をもちます。体を守ろうとするという意味では、悪い事ではないのですが、多くの場合、能動的な動きの制限に繋がります。記憶には電位が生じるので、その組織に固有のリズムが生まれます。身体全体を統合する脳のリズムと合わせる事で、組織が持った記憶を中枢と連動して使えるようにします。
- 例のケースでは、膝と足首を調整して、膝に負荷が架かった時に起きる異常な反射を押さえます。
14. トラウマのリリース
- オステオパシーで言うトラウマの定義は、過度な緊張や障害を受けた部位とその姿勢、その時に受けた感情です。オステオパシーでは、トラウマを解放するにあたり、体と感情の両面からアプローチ出来るという利点が有ります。
- 例のケースでは、転倒して怪我をした時に受けた負の感情を解放する事で、踊る事への恐怖を無くします。
15. 身体全体の統合
- 各組織が正常に機能していても、全体が統合されていないと、一つの機能体としてより良く動く事が難しくなります。各個の組織を正常かした後に、全体のリズムを1つに整えて、動けるようにします。
- 例のケースでは、大脳の運動神経からの指令や小脳の反復トレーニングで覚えた連携する機能を、骨盤で支えて、足首で動き、膝で動きの微調整をするという本来の機能と役割を戻します。